左サイドバックの人選は? 日本の生命線で問われる選手層
守備陣との連携を見ても、今回は左センターバックが森重真人(FC東京)から昌子源(鹿島)に代わったため、長友がサポートしていた部分は少なくなかった。昌子は「シリア戦をやったことで、自分は前よりすんなり入れると思う」と楽観視はしていたが、国際親善試合と最終予選は全くの別物である。
長友が欠場する場合、同じ左サイドバック要員には、酒井高徳(ハンブルルガーSV)、槙野智章、宇賀神友弥(ともに浦和)の3人がいる。槙野は昨年10月のオーストラリア戦(メルボルン)で左サイドを担った経験があり、今回もサイドバックと起用される可能性は皆無ではない。が、目下のところは最終予選序盤4戦で先発した酒井高徳がファーストチョイスと見ていいのではないか。
とはいえ酒井高徳も3月のタイ戦(埼玉)のボランチ抜擢には大いに苦しんだ。所属のハンブルガーSVでもボランチ、右サイドバックとの掛け持ちを強いられているため、左サイドバックをやるのは久しぶりとなる。
「1試合1試合でポジションが変わる中、感覚的なところをより研ぎ澄まさなきゃいけない。サイドバックの感覚でボランチやるとボールを奪われる可能性が高くなるし、ボランチの感覚でサイドバックをやってしまうと少し守備がおろそかになってしまう。それを頭に入れて切り替えをしっかりやることを心がけています」と本人も強調したが、口で言うほど簡単な作業ではないのは確かだ。
実際、酒井高徳は昨年10月のホーム・イラク戦(埼玉)で失点シーンに絡んでしまっている。相手左サイドからのフリーキックに対し、中央でのアブドゥルアミルとの競り合いに勝てず、ヘッドでゴールを許す形になった。
「正直、中では何でも起こり得る。10本いいクロスをピンポイントで入れられたら対応するのは簡単ではない」と長友も苦しい胸中を代弁したが、酒井高徳が出るのであれば、よりリスタート対策を万全にしていくべきだ。加えて、最終ラインの他の選手たちとの意思疎通も高めていく必要がある。今回は無失点で乗り切らなければ勝ち点は奪えない…そのくらいの覚悟と意気込みを持って戦うことが大切だ。