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日本代表 7年前

乾貴士、勝ち取った「ジョーカー枠」。2年ぶり代表で「楽しむ」を具現化できた3つの理由

text by 藤江直人 photo by Getty Images

スペインでの経験。生まれてきた心の余裕

 最初のビッグプレーは、ハリルホジッチ監督をも満足させた。そのうえでピッチ上の雰囲気を感じ取りながら、自分だけの彩りを加えていく。特に左サイドで縦のコンビを組んだ、DF長友佑都(インテル・ミラノ)とのあうんの関係は完璧だった。

「ユウト君(長友)が裏を狙ってくれたので、そこのコンビネーションというのもすごくよかった。自分が中に入ったときに、ユウト君がいいタイミングでライン際を上がってくれたのは、自分にとっても助かりました。そういうプレーがどんどん出てくれば、もっと崩しやすくなると思うので」

 最後の3つめは心のなかに生まれた余裕だ。代表合宿中の6月2日に、29歳の誕生日を迎えた。子どものころから憧憬の思いを抱いてきたスペインへ渡って、まもなく2年がたつ。日本代表から遠ざかっていた期間とほぼ一致するが、乾は一度たりとも焦ったことはないという。

「この2年間は、自分のサッカー人生のなかで一番楽しい時期をすごせている。代表に選ばれるかどうかは監督次第なので、呼ばれていなかったことは特に気にしていなかった。まずはチームで結果を出す、ということだけを考えていました」

 セレッソから2011年夏に移籍したブンデスリーガ2部のボーフムでは、30試合に出場してチームトップの7ゴールをあげた。翌シーズンに移籍したアイントラハト・フランクフルトでも、33試合出場で6ゴールをマーク。UEFAヨーロッパリーグ出場権獲得に貢献した。

 しかしながら、2013‐14シーズンから次第に試合で楽しめなくなる。2年間であげたゴールはわずか2つ。乾自身、当時を「ストレスを感じながらプレーしていた」と苦笑いしながら振り返る。

 元所属選手をUターン移籍させる構想を描き、実際に2016年1月に柿谷曜一郎をバーゼル(スイス)から完全移籍で獲得したセレッソの玉田稔代表取締役社長も、こう語るほど乾を心配していた。

「出ていった選手のなかでは、乾が一番早く戻って来られるのかなと思っていたくらいですから」

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