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日本代表 7年前

本田の中盤起用で見えた活路。香川負傷で迎えるイラク戦、背番号4の“転身”が解決策に

text by 元川悦子 photo by Getty Images

中盤に入った本田が攻撃を活性化。新たな可能性示す

 その流れを加速したのが、久しぶりに中盤でプレーした本田。今野と交代した浅野拓磨(シュトゥットガルト)が右FWに入り、本田が中に絞ると、倉田や井手口陽介(G大阪)らとともに連動して中盤でタメを作り、全体に落ち着きを与えたのだ。

「どっちかというと(香川)真司さんはタイミングを見てパッとボールを出せる方ですけど、本田さんはタメを作って周りを見れる選手。本田さんも試合後に『自分は真司とは違うよ』と言っていたけど、そのよさが出ていたと思います」と浅野も話したが、存在感はやはり大きかった。それまでは1トップの大迫勇也(ケルン)が全線で孤軍奮闘するシーンが目立ったが、本田がボールキープしてくれることでその負担も目に見えて軽減した。

 展開力という彼の武器もチームの攻撃陣を活性化した。それがひと際光ったプレーのひとつが、後半32分の乾へのサイドチェンジ。絶妙なタッチでボールをコントロールした乾は持ち前のテクニカルなリブルで相手を切り裂きゴール前へ侵入。最終的にフィニッシュに持ち込んだが、GKにブロックされて追加点には至らなかった。

「俺としては左利きの人が左を見てくれるから、あそこ(サイドの高い位置)で受けられる。チャンスになったシーンもそうですし、右利きだとなかなかああいうボールは出せない。(本田)圭佑くんが(中盤)に入ることで、左のワイドの選手は楽になりますね。ボールが収まるんで全体が落ち着きますし、それだけでラインも上がります。押し込む時間帯も増えるので、自分にとってもチームにとってもプラスだと思います」と乾はインサイドハーフに陣取った背番号4の優位性とチームにもたらす効果を代弁していた。

 この形は非公開だった5日と6日の練習で全くトライしていなかったという。浅野が登場した際、本田と倉田がポジションを入れ替えるかどうかで混乱したのも、指揮官の準備不足によるものだろう。それでも倉田は「最後らへんは右も左も関係なく入れ替わったりして、うまいこといっていたので、いい関係は作れた」と前向きに捉えていた。

 まさに「ひょうたんから駒」とも言うべき成果だったのだ。もちろんシリア代表の来日が前日で、なおかつラマダン中(編注:「ラマダン」はイスラム教における義務である断食月間のこと。1年に約1ヶ月間あり、今年は5月24日〜6月24日がそれにあたる。この間、ムスリムは日の出から日没まで飲まず食わずで過ごす)のため、後半に日本が一方的に押し込めたところもあったのだが、香川不在が決まったイラク戦に向け、本田のプレーによってチームに光明が差したのは事実だろう。

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