途中出場の選手たちがチームを活性化
“仮想イラク”として臨んだ親善試合のシリア戦は1-1の引き分け。前半に香川真司が左肩を負傷するアクシデントもあり、前半は好守がうまく機能せず低調なパフォーマンスに終わった。
後半は本田圭佑、井手口陽介、乾貴士といった交替選手が効果的な働きでチームを活性化させたが、1-1という結果は多くのサポーターを満足させるものではなかっただろう。
ホームの代表戦で勝利できなかったことは問題視するべきだが、イラク戦に向けた“トライ&エラー”の目的を考えれば、収穫が多かったことも事実。
特に2年2ヶ月ぶりの代表復帰で攻撃に違いを生み出し、左サイドから多くのチャンスをもたらした乾貴士、そして最初は右サイドに投入されたが、MF今野泰幸とFW浅野拓磨の交替に伴い、[4-3-3]のインサイドに入ってから存在感を増した本田の活躍は今後の選手起用に大きく影響する可能性がある。
後半13分から左サイドに投入された乾は「落ち着きを見せたいところもありましたし、その後で、仕掛けるところは仕掛けるっていうのを自分の中で意識して」ピッチに入ったという。
ただ単純に縦や裏をどんどん狙うのではなく、自陣寄りにタメを作ってからスイッチを入れる。乾のプレーにより、前半はバタバタしたまま相手のフィジカルとバッティングしていた日本に明確な攻撃の起点ができた。
そして後半18分、本田が右サイドからインサイドハーフにポジションを移すと、日本の攻撃は見違える様にスムーズになり、乾のところから次々とチャンスが生まれる様になった。
象徴的だったのが後半32分の決定的なシーンだ。吉田麻也からボールを受けた本田が大きく左に展開すると、乾が吸い付く様なファーストタッチから縦に仕掛け、最後は中に切り込んで惜しい左足シュートを放った。