「あのCL決勝並みのレアルともう一度戦ってみたい」
昌子は昨秋、「サッカー選手の全盛期は25歳と言われるけど、センターバックに限っては30歳前後がピークなのかもしれない。麻也くんや森重くんが今、そういう時期を迎えていると思う。自分はまだまだ発展途上にある選手。彼らくらいの年齢で成熟したDFになっていたら理想的だと思う」としみじみ語っていたことがあった。
が、昨年末のFIFAクラブW杯決勝のレアル・マドリー戦を経て「そんなに悠長に構えていたら世界トップに追いつけない」という危機感を抱いたのではないだろうか。
実際、2017年に入ってからの成長スピードは凄まじいものがある。「あの大会は間違いなく自信にはなったけど、相手も本気じゃなかった。レアルのCL決勝と俺らとやった試合なんて全然違った。あのCL決勝並みのレアルともう一度戦ってみたい」と世界トップを体感したことが、急激な進化につながっているはずだ。
今回のシリア戦で彼が「十分やれる」という感触を残せば、吉田の相棒の座を射止められる可能性は少なくない。同じ92年生まれのプラチナ世代の仲間である宇佐美貴史(アウグスブルク)や武藤嘉紀(マインツ)、柴崎岳(テネリフェ)でさえ破れなかった代表レギュラー獲得を一足飛びにつかめるかもしれないのだ。
守備陣の若返りが進めば、日本代表の競争はこれまで以上に活発になっていく。大きな期待を背負う昌子の一挙手一投足、吉田とのコンビネーションをしっかりと見極めたいものだ。
(取材・文:元川悦子)
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