好調をキープするチームのバックボーン
指揮官の言葉から推察するに、おそらくはルヴァンカップのエスパルス戦を前にして、選手たちのほうから戦い方を変えたいという声が寄せられたのではないだろうか。
第三者的な視点で見れば、いわゆる“造反”と映るかもしれない。しかし、レイソルには選手たちが抱く思いにしっかりと耳を傾けることのできる、度量の大きな指揮官がいた。
さらにつけ加えれば、シーズン途中の180度的な戦術変更に即座に対応できる選手たちを擁していた。その象徴となる中川は、ベンチウォーマーが続いた開幕3試合も常に準備してきたと胸を張る。
「必要なときにチームから求められるプレーができることが、いい選手だと思っているので。相手にいいボールの運び方をさせないために、どのタイミングでプレスにいくのか、どういった状況でいくのかは、僕だけじゃなくてクリスとの間でもかなり整理できていると思っています」
現役時代はレイソルのボランチを務め、ファンやサポーターから「柏の象徴」として畏敬の念を注がれた下平監督は、引退後はスカウトやU‐18チームのコーチ及び監督を歴任してきた。
好調をキープするチームのバックボーンを聞かれると、指揮官は迷うことなく「アカデミーからの継続です。土台はすべてアカデミーにあります」と即答したことがあった。
中川と武富、キャプテンの大谷、日本代表に選出されたGK中村航輔をはじめとして、レッズ戦の先発メンバーのうち実に8人をアカデミー出身選手が占めている。国内でも稀有な育成型クラブと言っていい。
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