戦い方の大きな変化と右肩上がりの軌跡
もっとも、シーズン序盤にはまったく異なる戦い方で臨んでいた。前線にはエースのクリスティアーノ、ディエゴ・オリベイラ、ベガルタ仙台から加入したハモン・ロペスが配置されていた。
昨シーズンにおける3人の合計ゴールは「38」を数える。8人の日本人選手でやや引き気味に守り、ブラジル人トリオの「個」の高さを前面的に押し出す戦い方で、サガン鳥栖との開幕戦は逆転勝ちした。
しかし、ロペスが負傷離脱したことで青写真が狂ってくる。ガンバ大阪との第2節からは3連敗を喫してしまう。そのなかで、ベガルタ仙台との第4節からは先発メンバーが大きく変わり出している。
中川が最前線に配置され、右サイドバックにはレノファ山口から加入した小池龍太が抜擢された。連敗を止めたサンフレッチェ広島との第5節からは、J1経験のなかったMF手塚康平がボランチに入っている。
いま現在のハイプレス集団へ変貌を遂げた、ターニングポイントをあげるとすれば。おそらくはリーグ戦を連敗して迎えた、3月15日の清水エスパルスとのYBCルヴァンカップの予選リーグ初戦となる。
中川、小池、そして手塚を含めた先発メンバーが、果敢に前線からプレスをかける。高い位置でボールを奪った小池のクロスが起点となり、こぼれ球を手塚が豪快なボレーで叩き込んで勝利した一戦だ。
リーグ戦における先発メンバーを順次入れ替え、前線の外国人選手がクリスティアーノだけとなった4月16日のヴィッセル神戸戦から、いま現在に至る連勝街道がスタートした。
「前線からの守備が本当によくなって、そこから連勝が始まっているとは思うんですけど」
昨シーズンの開幕直後から指揮を執る下平隆宏監督は、戦い方の大きな変化と右肩上がりの軌跡とをリンクさせたことがある。もっとも、こんな言葉をつけ加えることも忘れなかった。
「僕にやらされているのではなくて、相手のビルドアップを阻止したいという意思のもとで、選手たちが前からプレッシャーをかけにいっている。もともとはボールをもちたいチームなので、だからこそ相手から早くボール奪いたい、取られてもすぐに奪い返したいという思いが(好調の)要因になっているのかなと」