“暫定”の二文字も取れた「首位」に
女性インタビュアーが思わず心配する声をかけるほど、中川寛斗の汗は止まらなかった。試合後のヒーローインタビューにおける珍しいひとコマが、いま現在の柏レイソルが見せる強さの源泉となっている。
ホームの日立柏サッカー場に浦和レッズを迎えた4日のJ1第14節。身長155センチの最小兵Jリーガー、中川が前半アディショナルタイムに頭で叩き込んだ千金の先制点を、レイソルは最後まで死守した。
これで破竹の8連勝をマーク。ACLとの関係で消化試合がひとつ少ないガンバ大阪以下の4チームに勝ち点5差以上をつけたため、キープした首位の座から晴れて“暫定”の二文字も取れた。
ヒーローとしてスポットライトを浴びた中川は、12.427キロの総走行距離、31回のスプリント回数でもチーム最多の数字を記録。驚異的な運動量が、吹き出す汗の理由となっていたことは言うまでもない。
「前からどんどんプレッシャーをかけにいって、できるだけ早くボールを回収して、いい攻撃につなげる。そういうサイクルができている試合で、僕たちの勝利の確率はあがっている。それは僕だけではなくて、選手みんなの共通理解でできていると思います」
登録はMFながらツートップの一角で起用されている中川が、破竹の連勝中にこう語ったことがある。相手を辟易とさせる、疾風怒濤のハイプレスの“一の矢”を担っていることへの誇りが込められていた。
言葉通りにコンビを組むクリスティアーノも総走行距離、スプリント回数で中川に迫り、ときには上回る数字もマーク。連動するように2列目の武富孝介、伊東純也もハイレベルの数字を常に残している。
5月に入って戦列に復帰し、大津祐樹に代わって中盤の左サイドで起用されているFW登録の武富も、図らずも中川と同じニュアンスの言葉を残したことがある。
「ハイプレスとハードワーク。僕が左サイドで使われる意味は間違いなくそこにあると思っているし、僕やヒロト(中川)が出ている意味をしっかり理解しながら、ピッチで出せていることが一番大きい。決して無理をしてとか、自分たちではないプレーをしようとはしていないので」