攻守に大きく貢献した影のMVPとは?
そして、この決勝戦でも最も重要な働きをしていたのが中盤の底に位置するカゼミーロだった。
カゼミーロは90分間で両チームトップのタックル数7回を記録し、ユベントスのキーマンでもあるディバラを抑え込んだ。さらに92.6%という高いパス成功率を維持し、61分にはペナルティエリア外から勝ち越しとなるゴールを決めた。
公式の決勝MVPは2得点のクリスティアーノ・ロナウドだったが、影のMVPはカゼミーロだった。このカゼミーロのような選手は、一時期のマドリーであれば冷遇される可能性の高い存在だが、ジダン監督は誰よりも重宝している。
派手さよりも堅実な選択ができるというのがジダン監督の強みとなっており、そういった指揮官こそマドリーに必要な存在ながら、これまでは受け入れられないことが多かった。
しかし、ジダンという世界中から尊敬を集める人物に安易に異議を唱えられる者はマドリーの周辺にはいないのかもしれない。ジダンという指揮官の登場によって、ついにマドリーは本当の強さを手に入れた。
(文:海老沢純一)
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