自らの武器を最大限に生かすジダン
後半開始から、ユベントスは明らかに前半とは異なるチームとなっていた。
後半45分間のユベントスのプレーエリアを見ると、自陣で57.09%と大きく後方へと後退し、シュート数は前半の8本から後半はわずか1本。タックル数も前半の9回から5回へと減少した。
これは、試合開始からギアをトップに入れてプレーしたことが影響しているのだろう。とはいえ、アッレグリ監督にとってはそれも想定内であり、後半からはじっくりカウンターを狙う戦略を立てていたことも考えられる。
前半は前線からプレスを仕掛け、後半からは相手が前に出たところをカウンターで応戦…という戦略は常套手段ともいえる。
しかし、マドリーのプレーエリアを見ると、後半の45分間も自陣で51.75%と過半数を記録。相手の誘いに乗らず、徹底して低い位置からの速攻というスタイルを貫くことによって3得点を生み出した。
このマドリーの戦い方は、ポゼッション志向の人々からは「つまらないサッカー」と言われてしまうものでもあり、過去15年近くに渡ってマドリーが苦しめられてきた部分でもある。
一方で、マドリーの面々を見ると明らかに堅守速攻に特化したメンバーとなっており、ジダン監督は単純にチームが最も力を発揮できる戦術、そしてメンバーを選んでいるに過ぎない。
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