“華麗”よりも“勝利”。リアリスト同士の戦術合戦
ジダン監督が志向するのは「堅守からのカウンター」。この決勝戦でユベントスはマドリーのカウンターを封じるために、ある程度相手にボールをもたせた上で強いプレスを仕掛けることによって主導権を取りに来た。
データサイト『Who Scored.com』で前半45分間のスタッツを見ると、支配率は46.5%:53.5%、パス成功本数は193本:249本とどちらもマドリーが上回っている。
一方で、マドリーの前半45分間のプレーエリアを見ると、自陣で57.87%となっており、逆にユベントスは敵陣で54.29%を記録した。
このデータからも、主にマドリーが低い位置でボールを持ち、ユベントスが高い位置からプレスを仕掛けていたことがわかる。これ自体は恐らくユベントスの狙い通りだったはず。
前半の展開はマドリーにとって難しいものとなっていたが、20分にはモドリッチ、クロース、ベンゼマ、ロナウド、カルバハル、そしてロナウドとボールをつないで先制ゴールをゲット。
自陣からスタートしたこの速攻は今季のマドリーを象徴する流れであり、戦力・戦術ともに最も充実しているユベントスですらも対抗できない鋭さを持っている。
その後、27分にはマンジュキッチによる見事なバイシクルシュートによって同点となるが、後半からはマドリーの一方的な展開が続いた。
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