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ユーベの堅守はなぜ決壊したのか。決勝でまさかの4失点。レアル相手に表出した“負債”

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

抑えられたディバラ。カウンターの演出も難しく

ユベントスのディバラ(右)。なかなか好機を演出できなかった
ユベントスのディバラ(右)。なかなか好機を演出できなかった【写真:Getty Images】

 そしてもう一つ、ユベントスがこれまでの試合でも出来が良くなったところを許さずにペースを握り続けた。つまり押し込まれた際のつなぎだ。

 守備をしてボールを奪い、カウンターを仕掛けようとボールを前に運ぶ。ところがミスが出て、FWやサイドハーフにきちんとボールが収まらない。これは今までの試合でもあったユーベの数少ない汚点だったが、レアル・マドリーはさらに執拗にプレスを掛けてボールを奪い、波状攻撃を続けた。

 高い位置にも適切に飛び出して、イグアインに前を向かせなかったセルヒオ・ラモスや、ディバラに厳しく体を寄せ続けたカゼミーロのプレーには甘さがなかった。特に、これまでチェックしたDFの裏を一発で取り続けたディバラが抑えられたため、ユーベはカウンターの演出も難しくなった。

 さらに、ユーベが頼みの綱としていたはずのサイドの連携まで切られた。マンジュキッチやダニエウ・アウベスにボールが入れば、SBとインサイドMFがすぐに挟み込む。4-3-1-2のシステムでサイドには数的不利が生じるため、アッレグリ監督も勝利を見出せると思っていたであろうエリアで手が出せない。

 守備の際はトップ下のイスコがちゃんと中盤にスライドし、サイドで人数をかけられるようなカバーができていたからだ。「イスコがいればその分隙ができる」とアッレグリ監督は前日会見で語っていたが、とんだ見込み違いではなかったか。

 そうして流れを失ったユベントスは、後半16分にカゼミーロのゴールで1-2とされる。失点自体は、DFに当たってシュートの軌道が変わったことでもたらされた不運なもの。ただそれまでに振り回された挙句、カゼミーロをフリーにしてミドルシュートへのチャレンジを許したことは、やはりユーベ側の失態であると言える。

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