「いい2年間だった」トゥヘル体制での経験
そのトゥヘル監督が契約を1年残して退任することが今週、正式に決定した。香川にとっては大きなニュースに違いない。
「自分の口から監督に対しての総括は難しいんですけど、まあチームが決めたことなんで。僕は一緒にやって学ぶものはたくさんあったし、逆に悔しい部分もたくさんあった。それは自分のこれからのサッカー人生においていい経験になると思ってるし、何よりいろんな監督といろんなトップレベルの場所でやることはプラスしかない。そういう意味ではいい2年間だったと思ってます」と複雑な感情を全て封印して大人の対応を見せた。
後任はかつてボルシアMGを指揮して古豪復活の立役者となったルシアン・ファブレ監督(現ニース)が最有力と見られるが、誰が来るにせよ、来季は再びゼロからの競争を強いられる。
加えて言うと、来季は2018年ロシアW杯を直後に控えた重要な1年となる。マンチェスター・ユナイテッドに在籍した4年前はサー・アレックス・ファーガソンからデビッド・モイーズへ監督が交代したことで立場が危うくなり、出場機会が激減。シーズン通算得点ゼロという最悪の状態で2014年ブラジルW杯に突入して、全くいいところを出せなかった。
来季も同じ轍を踏んでしまっては4年前の苦い経験が無駄になってしまう。出場機会と得点数を伸ばすべく、自らを進化させていくことが肝要だ。
まずは今回の日本代表2連戦でその布石を打ちたい。これまでトップ下のポジション争いを演じてきた清武弘嗣(C大阪)が落選し、倉田秋(G大阪)が新たな競争相手に浮上するなど、エースナンバー10を取り巻く環境にも変化が生じている。
「キヨやモリゲ(森重真人=FC東京)くんが入れ替わる形になりましたけど、みんな危機感を持ってやらなきゃいけない。日本代表は結果を残しているやつが出る場所。それが監督のメッセージだと思います」と香川自身も神妙な面持ちで言う。