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アジア 7年前

波乱万丈のサッカー人生。元日本代表DF青山直晃がタイで挑む「弱肉強食」の戦い

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「『外国籍選手』という厳しい立場で勝負したい」

ヴァンフォーレ甲府ではコンスタントに出場機会をえて、チームのJ1残留に貢献した
ヴァンフォーレ甲府ではコンスタントに出場機会をえて、チームのJ1残留に貢献した【写真:Getty Images】

 故障から復帰した2010シーズンは、リーグ戦の出場機会がゼロに終わった。ベンチ入りさえもままならなかった状況で、契約延長を打診されながらもオフに環境を変える決断を下す。完全移籍した横浜F・マリノスではしかし、中澤佑二と栗原勇蔵が築きあげる壁の前にはね返され続けた。

 心機一転、2013シーズンからはヴァンフォーレ甲府へ完全移籍。最終ラインの一角で対人の強さを取り戻すなど、チームのJ1残留に大きく貢献した。翌2014シーズンもコンスタントに出場機会を得た。充実感を覚えていたなかで、10年で節目を迎えたプロ人生を振り返ってみた。

「何か新たなチャレンジをしたいと思って。それで選んだのがタイでした。タイではお金を積んで、スピード、パワー、テクニックがそろった外国人のフォワードが大勢プレーしていると聞いた。彼らとバチバチやりたいと思うようになったんです」

 選んだのは強豪の一角に名前を連ねるムアントン。ヴァンフォーレを介して発表された青山のコメントには、当時の偽らざる思いが綴られていた。

「今シーズンも甲府でプレーしたいという気持ちも大きかったのですが、自分のサッカー人生を考えたときに、海外リーグで『外国籍選手』という結果を求められる厳しい立場で自分自身を追い込んで勝負したいという気持ちが上回り、タイで勝負する決断をしました」

 足元の技術やフィード能力がセンターバックにも求められる時代のなかで、古き良きディフェンダーだと自負している。対人の強さなら誰にも負けない。果たして、裸一貫で飛び込んだタイの地は、青山のなかで燻りかけていた闘争本能を雄々しく蘇らせてくれた。

「自分らしいというか、自分が好きなサッカーをやれている。体をぶつけ合うのが楽しくてこの世界に入った自分としては、外国人選手とバチバチやれているのは本当に面白い。日本は組織で守るサッカーなんですけど、タイは完全に個のサッカー。だからこそ、僕としてはやりがいがある。

 特にブリーダム・ユナイテッドの外国人ツートップが半端ない。それでも組織で守ったりはしない。とにかく個で守れ、と。その分、やられたらすべて個人の責任となる。今回みたいなかたちで、責任を取らされる。そういう刺激は、常にありますね」

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