怪我人が続出した4月。その反動で厚くなった選手層
得点感覚だけでなく、ガンバでも武器としていた球際の強さや献身的なハードワークを新天地でもいかんなく発揮。すでに何年もフロンターレでプレーしているかのように映る阿部に、中村も目を細めながら全幅の信頼を寄せている。
「阿部ちゃん自身も最初はウチのサッカーに対してどう入っていいか、というのがあったと思うし、こっちも阿部ちゃんがどうするかというのが見えなかったところもあったので。いまはお互いがお互いをよく理解しているし、阿部ちゃんはプラスアルファ、いままでウチに足りなかったものをすごく出してくれいる。
あとは毎試合スタメンが変わりながら、阿部ちゃんも含めて試合に出る選手がすべて得点に絡んでいる。そうすると他の選手も『オレも、オレも』となる。そういう競争意識というか相乗効果というのは、4月までが本当にカツカツ、ギリギリだった分だけ、5月は非常にあったのかなと」
たとえば順天堂大学から加入して2年目のMF長谷川竜也は、昨シーズンの1ゴールから、今シーズンはリーグ戦で早くも3ゴールをゲット。ムアントンを等々力陸上競技場に迎えた5月30日のセカンドレグでも2点目を決めるなど、ACLでも2ゴールをマークしている。
そのなかで無得点が続いているのが、大宮アルディージャから加入したFW家長昭博となる。先発フル出場したムアントンとのセカンドレグでは、大勢が決した試合途中にサポーターからゴールを求めるチャントもわきあがった。それでも中村は心配無用を強調する。
「阿部ちゃんとはけがで戦列を離れていた期間が違うし、これからでしょう。アキ(家長)自身も徐々に、徐々にと思っているはずだし、アキのポテンシャルの高さは疑いようがないので。アキがフィットするのを待つ余裕がいまはあるし、周りがアキの特徴を感じて、上手く引き出してあげればいいんじゃないかな」