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川島永嗣が語る「葛藤の1年」。求めるものは「もっと先にある」と気づいた【インタビュー】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

葛藤の日々…思うようにいかない苛立ちはあった

―――その覚悟で加入したあと、実際に2人のGKと合流してからの印象は?

K 自信はもちろんありましたけど、今までベルギーやスコットランドでは出ることが当たり前だった中で、トマはすごくポテンシャルのあるキーパーだし、21歳といったらGKとしては若いけれど、やれることの大きさというのを練習で感じたので、競争という意味ではすごくやりがいがあるな、と思いましたね。

若くても体がでかくてパワーもあるし、止められるエリアとか範囲が全然違う。そういうところで自分が勝っていかないと試合に出られないな、と。

―――反対にアピールできると感じた点は?

K 自分が劣っていると考えたことは逆になくて、競争の中で勝っていくためにはどうしないといけないのかな、と考えていました。自分は日本人でこちらでは外国人だから、同じスタンダード、同じ舞台でやっていても自分を出す意味が無い。

 同じレベルのことを考えるのではなくて、自分は外国人として何をチームにプラスアルファとしてもたらせるのか、ということを突き詰めていかないといけないと。言葉で言うのはなかなか難しいですけれど……。

―――その中で1月に実戦のチャンスが訪れました(1月8日のフランス杯ラウンド32、対FCランス戦にフル出場。2-0で敗れて敗退)。

K あの試合はメンバーもローテーションで若手も出ていたし、ずっと出ていた先発メンバーが出ていたゲームではないから、その中で自分に何ができるのか、とにかく自分のやれることに集中するしかない、というゲームだったと思うんです。

 結果が出なかったのは残念だったし内容も含めて自分では納得していないですけど、8月からずっと試合に出られない状態で(チャンスを)待っていたわけだから、そういう意味では試合に出られたことはまず第一歩。

 10月くらいに初めてベンチに入れて、そこから試合に出られて、と、ステップ的には前に進んだのかな、と思いました。

―――日々懸命に取り組んでいながらも心が折れそうになったことも?

K それはもう、日々葛藤……じゃないですか(苦笑)。

 葛藤するからこそ、自分が新しい気持ちを求めるわけだし、逆に葛藤とかそういうものがなければ、自分の中から湧き出てくるものもないだろうし。

 ベンチに入ったりとか、日々やっている中で本当にゆっくりだけど一歩一歩進みながらも、なかなか自分が思っているようには進まないということに対する苛立ち、というのはもちろんありました。

 でもとにかく自分は、キャリアが終わったときにやりきった、と思える人生が良い。それを考えたら、「もらったチャンスだから、やるだけやって、ダメだったらしょうがない」と思いながらやっていましたね。

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