敗退後に見えた“15歳”の本当の姿
だが、ベネズエラ戦を終えてみると「正直終わってから今は、あまり考えられないですね」と思考を整理できていない様子で、「(期待は)気にせずやっていたつもりでしたけど、期待には応えられなかったので、自分としては本当に不甲斐ないです」と落胆を隠せなかった。そこには“普通の”15歳の少年がいた。
それでも久保自身、U-20W杯を通して得たものは大きかったはずだ。「前の選手なんで毎試合ゴールは狙ってます」と語っていた通り、起用されればどんな相手にも臆することなく果敢に向かっていき、何度も決定的なプレーを見せた。
結果的にノーゴールで大会を終えることにはなったが、「どんどん自分のプレーをいつも通り出していければ」という思いはしっかりと形になってあらわれていた。ベネズエラ戦では相手が久保のことを警戒して厳しいマークをつけ、久保にボールが渡らないよう警戒していたのは明らかだった。
毎試合、課題を克服する姿も見られた。初戦の南アフリカ戦では「今日はちょっと下がってボールを受けていた分、自分ではシュートまでいけていなかった。次はもうちょっと前でボールを受けられるように工夫して、自分からもシュートを狙ってもっと積極的にいきたい」と話していた。
次のウルグアイ戦、小川航基の負傷で急きょ前半途中からピッチに立った久保は「前半全然いい入りができなくて、ハーフタイム、これじゃ終われないなと思っていた」と、悔やんだが、後半は修正してゴール前に何度も顔を出し、決定的なパスでも観客を沸かせた。
この試合で出た「ファーストタッチ」という課題も、3度目の出番が訪れたベネズエラ戦で改善が見られた。相手のマークがつきづらい場所に立ち、少ないタッチで前を向ける状態を自ら作るよう工夫して惜しいチャンスを作った。ゴールに結びつかなかったのだけが心残りだ。
出番のなかったグループステージ第3戦のイタリア戦翌日、「(成果は)そんな簡単に得られるものではないと思うんですけど、5年後、10年後の自分に経験という形で得られるものは大きいんじゃないか」と話していた。初めて経験した世界の舞台で掴んだ感覚は、一生の財産となったに違いない。