日本が崩せるようになった3要因
ベスト16で敗退したものの意義のある大会だったのではないか。
A代表から育成年代まで、日本代表の問題点は引いている相手をどう崩すかだった。ボールポゼッションは高いが引かれると崩せず、CBとGKはほぼ全世代のウイークポイントなのでカウンターに弱い。負けパターンだけがやけにはっきりしていたのだが、今回のU-20は崩しができるので戦い方にようやく整合性がとれてきた。
今大会で日本が崩せるようになった要因をまとめると、①ボールコントロール、②距離感、③相手を見る。この3点が良かった。
具体例をいくつかあげたい。まず、前半に市丸のふわりとした浮き球のパスから岩崎がヘディングシュートを放ったシーン。中央右寄りでボールを持った市丸は右サイドへ展開するような体の向きから、中央の岩崎へパスを出しているのだが、岩崎をマークしていたDFがボールサイドへ一歩動くのを予測して、その背後へボールを蹴っている。このときペナルティーエリア内にはベネズエラのDFが3人、日本は岩崎しかいないが決定機を作れている。
市丸はDFの動きをよく見ていて、スパッとFWへのクサビを何本か打ち込んでいた。相手の動きを見る、あるいは予測して、相手の守れない場所を意識してプレーできる選手が何人かいたのは今回のチームの強みだった。
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