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日本代表 7年前

久保裕也が描く劇的な成長曲線。ハリルJの柱へ、今求められる万能ゴールゲッターへの進化

text by 元川悦子 photo by Getty Images

久保が貫いたストイックな姿勢。鍵は「自分のプレー」

久保裕也
ベルギーのKAAヘント移籍以降、驚異的なスピードで進化を続けている【写真:Getty Images】

 彼の新天地での適応能力の高さは特筆に値する。ヘントを率いるハイン・ファンハーゼブルック監督はベルギーきっての戦術家として知られ、プレーオフでも3-4-2-1と4-2-3-1を巧みに使い分けながら戦っていた。起用する選手を試合ごとに変え、それぞれの役割やポジションも細かく修正していくため、久保のような新戦力がチームに溶けこむのは非常に難しい。

 本人が指摘している通り、スイスとベルギーは同じ欧州といっても全く異なるリーグ。その違いに慣れるのも容易なことではない。さまざまなハードルを一足飛びに超えられたのは、久保がサッカーへのストイックさと真摯な姿勢を貫いき続けたから。そこは今一度、強調しておかなければならない点だ。

「チームのスタイルもそうだし、言葉の部分もそんなに苦はなかった。いろんな部分でヘントに適応できたのかなと思います」と本人も神妙な面持ちで話したが、その適応力と柔軟性は日本代表で戦ううえでも武器になる。ハリル体制では昨年11月のオマーン戦(カシマ)から4試合しか招集されていないにもかかわらず、すでに2ゴール3アシストという驚異的な結果を残している。ハリルホジッチ監督が6月の2連戦でも引き続き大きな期待を寄せるのは、ある意味当然のことと言っていい。

 とはいえ、同じ右サイドのポジションを争う本田圭佑(ミラン)もシーズン終盤に復調の兆しを見せている。3月の時点では試合勘やクラブでの活躍度で久保に大きなアドバンテージがあったものの、6月シリーズは準備期間が普段より長くとれるため、本田にも巻き返しのチャンスが少なくない。久保も原点に戻って熾烈な競争を強いられるのだ。

「本田さんとの違い? 僕は僕で、チャンスをもらえた時に自分のプレーをするだけ。それがチームの結果として出れば一番いいので、特に意識することなく自分のプレーをやりたい。本田さんと僕だけじゃなくて、全ての選手が個人個人違った特徴を持っているので、とにかく自分のプレーを出すのが一番だと思います」

 彼は「自分のプレー」という言葉を何度も繰り返した。それはつまり「ゴールに直結するプレー」に他ならない。中央に動いたり、前後に動いたりしながらゲームメイクにも幅広く関わる本田はよりMFに近い選手。矢のようにゴール前へ飛び出していく生粋の点取り屋である久保とは明らかに特徴が違う。

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