注目を集める初招集・加藤恒平の一挙手一投足
6月7日の国際親善試合・シリア戦(東京)、13日の2018年ロシアW杯アジア最終予選・イラク戦(テヘラン)に向け、28日から欧州組だけで始動した日本代表。
初日はサプライズ招集された加藤恒平(ベロエ・スタラ・ザゴラ)や2年2ヶ月ぶりに代表復帰した乾貴士(エイバル)、彼のバックアップメンバーとして緊急招集された宇佐美貴史(アウグスブルク)を含む10人でトレーニングをスタート。翌29日には大迫勇也(ケルン)も合流した。
2日目からは恒例の2部練習となり、午前中は猛烈な走りのメニューが課された。午後はボールを使ったコーディネーションのトレーニング、30秒間の4対1、ミニゴール4つを使ったゲームなども盛り込まれた。途中で乾が痛めていた右足首の状態を悪化させリタイアするアクシデントが起きたものの、大事には至らない模様だ。
そんな中、やはり注目を集めるのは、無名の男・加藤の一挙手一投足だ。
午前練の4グループに分かれたインターバル走では、岡崎慎司(レスター)、乾らとともに先頭を走って持久力をアピール。午後練の4対1では現代表の主力たちと比べてもそん色ない技術レベルを披露し、久保裕也(ヘント)を激しく削りにいってボールを奪う激しさも押し出した。
25日のメンバー発表会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「山口蛍(C大阪)に似ている」と語った特徴を、彼は指揮官やチームメートにしっかりと印象づけた。
「そこは僕のストロングポイントなんで、しっかり練習から出していかないと。僕が一番下の立場なんで、練習からアピールしていかないといけない。ただ、何回か(他の選手の)足を削っちゃったんで、チームメイトだからそこは気を付けないといけないですね」と本人も苦笑いしていたが、調整メインのミニゲームでも内に秘めた闘争心が自然と出てしまうのが、モンテネグロ、ポーランド、ブルガリアを渡り歩いた「成り上がり者の性(さが)」なのだろう。
代表常連になると、いい意味でも悪い意味でも加減や塩梅を覚えがちだ。メディア対応ひとつとってもそうで、喋るのを嫌がったり、ぶっきらぼうな振る舞いをする選手も少なからずいる。だが、いつまでこの場にいられるか分からない人間にそんな高飛車な態度はできない。何事にも感謝を忘れず、100%の力を出し切ろうと貪欲に向かっていく真摯かつ謙虚な姿勢を見て、他のメンバーも原点を思い出したのではないか。