本田圭佑の本質は努力と実直性にこそあるのでないか
しかし、たとえそういう状態になっても腐らずにいることがチームには必要となるし、そんな人物の存在は指揮官にとっても喜びである。昨季のミハイロビッチが本田を再評価したプロセスがまさにそうだった。
今季、モンテッラ監督には若くて向上心溢れる若手選手が多く与えられ、チームが規律を保って動くことについて心配はなかった。しかしやはり、長いシーズンコンディションを整えるのは難しくなる。
もう少し再評価が早くなっても良かった気もするが、結局モンテッラはそんなチーム状況下で本田を見直し、ボローニャ戦でチャンスを与え結果にも繋げた。
「自分はチャンスをあまり与えてやれなかったが、プロフェッショナルな姿勢へのご褒美をあげたかった」と、カリアリ戦でキャプテンマークを与えたことについて記者会見で説明していた。
派手なルックスと言動が目立つが、本田圭佑の本質はそういった努力と実直性にこそあるのでないだろうか。
「爪痕を残すために必要なこと」と彼は以前守備に走ることについてコメントしたことがある。本人が生き残るための活路としたのも、背中の10番に見合う成績が出せなかったミランで一番評価された部分も、結局はそんなプレーだったのだ。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
【了】