1季で8試合221分出場。うち123分はラスト2ゲーム
最終節のカリアリ戦で、本田圭佑はキャプテンマークをつけてフル出場を果たした。フル出場は今シーズン最後にして、初めてのことだった。
8試合、221分間出場、しかもそのうち123分は最後の2試合で稼いだという数字を見ると、試合に出られないという苦境がはっきりと見て取れる。一度はスタメンから外れるも、中盤戦で主力の座を奪回した昨季とは違い、そういう機会は訪れぬままベンチで1年のほとんどを過ごした。本田の16/17シーズン、そしてミランでのラストシーズンは、そのようにして幕を閉じた。
しかしなぜ、今季はそれほどまでに立場が変わったのだろうか? 要因をまとめれば、次の2つに集約される。
まず一つは、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督が戦術の方向性を変えたということだ。シニシャ・ミハイロビッチ監督下の堅い守備からのカウンターとは違ってラインを高く設定するが、かといってクリスティアン・ブロッキ監督のように4-3-1-2のシステムのもとポゼッションにこだわる、という格好でもない。
守備はコンパクトにしつつ、攻撃ではサイドバックも一気に上げ前線に5人を送り込むよう切り替えの速さを重視するというものだ。特に左右のウイングは積極的に中へ切り込ませ、敏捷性を求めた。
ボールを持って仕掛けを行う際の瞬発力に優れているとは言えない本田にとっては、やや居場所がない戦術だったか。前節のボローニャ戦では、前半のチームが機能しなかったため4-4-1-1に修正し、その時にやっとサイドでバランスを取るのが上手い本田を使うことができた。
それまでモンテッラ監督が本田をあまり起用しなかったのは、彼の置きどころがなかったという判断に基づいたものだったのかもしれない。