スタートダッシュ失敗が響いたシーズン。その2大要因
結果的に国内カップ戦2冠、リーグ準優勝という結果に終わった今季のPSGだが、開幕後の2ヶ月でわずか4勝とスタートダッシュでつまずいたのはその後の成績に大きく影響した。
その要因は大きく2つあったように思う。新監督の起用と、夏のメルカートの失敗だ。
「欧州での成功」を託されて着任したウナイ・エメリは、彼なりの野望をもってパリの地におりたった。当初は彼なりの采配を示そうと、昨季まで完全に機能していたモッタ-ヴェッラッティ-マテュイディの中盤トリオを崩すなど試行錯誤していたが、思うように結果が出ずに、批判の声は高まる一方だった。
そしてイブラヒモビッチという大黒柱が抜けた後、カバーニが主砲となった今季のメンバーには、キャプテンのチアゴ・シウバを含め、絶対的なリーダーシップが欠けていた。
古巣セビージャから連れてきたMFクリホヴィアク、昨季ニースで大活躍したベン・アルファ等、今季獲得した新戦力は、エメリが思うようなパフォーマンスは出せず、結果的に『昨季の面子-イブラ』と、単純に考えても戦力はダウンしていた。
そこから終盤に向けて回復したのには、エメリがひとまず自身の野望は脇におき、安定した元のシステムに戻すなど、着実に勝ち点をとれる作戦にシフトしたこと、そうして勝利を重ねることで選手たちが自信を取り戻し、昨年までの『常勝チーム』の顔が蘇ってきたことが挙げられる。
やはり昨年夏のユーロの後に入団し、期待されるパフォーマンスが出せずにいた右SBムニエも徐々に本領発揮し、冬のメルカートでユリアン・ドラクスラーを獲得したことで戦力もアップしてきた。
その結果、今年に入ってからのリーグ戦での黒星は終盤の35節のニース戦のみ。CLラウンド16の対バルセロナ戦、ホームでの1stレグで4-0と快勝した時には、V字回復もここまで来たか!と、期待も最高潮に高まった。が、2ndレグで歴史的な逆転劇を喫して精神的にもドン底に落ちることに。しかしそこから彼らは予想以上の強さで這い上がってきた。