メッセージのこもったパス。固い絆で結ばれた堂安と市丸
「相手に当たってました。けど、俺のゴールです(笑)」
試合を終えて取材エリアに現れた堂安律は、清々しい表情でインタビューに応じた。
それもそのはず。27日に行われたU-20W杯のグループステージ第3戦で、U-20日本代表はイタリアと2-2で引き分けた。序盤に2点を先行されながら、同点に追いつけたのは他でもない堂安の2ゴールがあったからこそ。
3試合連続で相手に先制を許す展開で、窮地に立たされた日本はなんとか勝ち点1を積み上げてグループDの3位が確定。目標だった決勝トーナメント進出を果たした。
特に堂安の2点目の場面では、会場がどよめきに包まれた。1-2で迎えた50分、ペナルティエリア手前で市丸瑞希からパスを受けた堂安はボールをコントロールしながらターンし、そのままドリブルを開始。相手DF3人を引きずりながらゴール前まで侵入し、同点弾をねじ込んだ。
「2点目は自分の特徴が出たところやし、市丸がパスをちょっと前に出してきたんで、『前向け』ってメッセージが込められてたと思うし、『ああ、そういうことか』と思ってドリブルしてました」と、堂安は笑顔でゴールを振り返る。
記者席も「マラドーナか!」「いや、メッシだ!」と盛り上がっていた。とにかく誰が見てもスーパーな1点。日本にとっても決勝トーナメント行きを決定づける重要な1点になった。それを演出した市丸は、堂安へのパスにしっかりとメッセージを込めていた。
「どフリーやったし、(堂安)律やったら仕掛けて2人が相手でも全然抜けると思っていた。あそこで仕掛けずにバックパスされても全然怖くないから、『仕掛けろ』という意図をこめて出しました」
堂安と市丸。年齢は後者の方が1つ上だが、2人はガンバ大阪の下部組織時代から長くプレーしてきた、いわば“相棒”的存在。互いへの信頼も厚く、もはや言葉によるコミュニケーションを必要としないレベルの連携を築いている。試合中はお互いの位置を常に確認しながらプレーしているほどだ。