香川は“宣言”していた
リーグ戦で最後の大一番だったホッフェンハイム戦で、ベンチスタートとなった香川は、その試合後に“宣言”していた。
「ポカールの決勝は最後あるので、そういうビッグゲームで、今シーズンをいい形で終えられるように、頑張って、準備して、アピールしていきたいなと思います」
そう語ったとおり、香川は「ビッグゲーム」で先発し、90分間フル出場し、チームの勝利に貢献した。確かにゴールやアシストといった目に見える結果はなかったかもしれない。しかしチームの弱味に応じた柔軟なポジションチェンジや、攻守における的確な判断、そして落ち着いたパス交換と、どこかベテランらしくタイトルの獲得に貢献した。今季最後の大舞台で、改めて選手としての価値をピッチの上に示した。
それは、かつてマンチェスターに渡る前に見せていたような、若くイケイケだった頃とは違う姿かもしれない。しかし黒と黄色のファンたちにとっては、かつてのように“シンジ”であることに変わりはない。ドルトムントの勝利のために、香川は大切な選手であり続けている。
そして“有言実行”で先発を飾り、改めてクオリティを示すあたり、この黄金色のポカールの獲得で、香川は円熟の域に入っていくのかもしれない。
(取材・文:本田千尋)
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