序盤にまさかの2失点。絶望を打ち破ったのは…
「我々は決勝トーナメントに出ることを一番の目標にここに来ている。そこは間違ってはいけない。(グループ)3試合の1戦目で南アフリカに勝って、2試合目でウルグアイにやられた今、3試合目をどう戦うのか。その判断を間違っちゃいけない」
内山篤監督が口を酸っぱくしてこう語っていた通り、27日の2017年U-20W杯グループステージ最終戦・イタリア戦(天安)は勝ち点1以上を視野に入れた試合運びが強く求められた日本。ところが、彼らは開始早々の7分間で2失点という信じがたいミスを犯してしまった。
前者はDF陣のラインコントロールのミスが発端。相手アンカー・マンドラゴラ(8番)の縦パスが出た瞬間、初瀬亮(G大阪)と杉岡大暉(湘南)の2人がオフサイドラインの後ろに残ってしまい、エースFWファビッリ(9番)に飛び出され、彼からのクロスを右FWオルソリーニ(7番)に決められた。
「僕の経験の浅さでラインを下げてしまった」と大会初先発の杉岡は悔やんだが、日本は3戦連続で先制点を献上する羽目になった。
後者はフリーキック時の守りの乱れから。左FWバニコの飛び出しにマークの初瀬がつき切れず、アッサリとゴールを許してしまった。いずれにせよ、2点のビハインドが重くのしかかったのは事実。「これはちょっとまずいな」とスタメン出場した遠藤渓太(横浜)も動揺を覚えたという。
0-2という絶望的なスコア。すでにエースFW小川航基(磐田)が負傷離脱していて、2点を返せる可能性は極めて低い。日本は絶体絶命の危機に瀕した。その崖っぷちからチームを救い出したのが、宿舎同室の小川から「いいところ持って行けよ」と激励された堂安律(G大阪)だった。
反撃ののろしを上げたのは前半22分。自ら中央にボールを運び、いったん中山雄太に預け、左の遠藤に渡ったのを見極めて、背番号7はゴール前へ一目散に走った。次の瞬間、2人のDFの間に侵入。滑り込みながら左足でコースを変えて値千金の1点をゲットする。
「あれこそガンバで求められていたプレー。ワンタッチで点取るのは自分に今までなかったプレーなんで、それができたのはちょっと成長したところかな。ああいう怖いところに入っていけば得点量産はできると思う」と本人も目を輝かせたが、崖っぷちの状況で新たな得点パターンを出せてしまうところが堂安の非凡さ。これで彼も日本も完全に勢いづいた。