ビッグマッチに縁がなかった香川
無事にポカールを「優勝」で終えることができれば、香川にとって、ドルトムントでは11/12シーズン以来のタイトルとなる。(当時マンチェスター・ユナイテッドを率いていた)サー・アレックス・ファーガソンの御前試合でゴールを決めた12年の決勝バイエルン戦。黄金のカップを置き土産に、“23番”はマンチェスターに旅立った。
しかし香川は、14年にドルトムントに復帰してからの3シーズンで、未だタイトルを獲得できていない。リーグ戦はもちろんのこと、ポカールではここ2季連続で決勝に進出したが、14/15シーズンはVfLヴォルフスブルクに、15/16シーズンはバイエルンに敗れて準優勝に終わっている。ユルゲン・クロップとトゥヘルの両監督の下で一定の出場機会を確保し、ゴールとアシストを記録してきた香川だが、まだ“成功体験”には届いていなかった。それは、トゥヘル体制でビッグマッチに縁がなかったことの一因なのかもしれない。
だからこそ今シーズン最後の決戦で先発の座を掴み、ゴールを決めてドルトムントの優勝に貢献する。そしてその手で金色に輝くポカールを掲げたなら、また一つサッカー選手として、殻を破ることができるはずだ。
(取材・文:本田千尋)
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