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マンU、モウ1年目は「成功」にあらず。EL制覇も、遠ざかったユナイテッドらしさ

16/17シーズンのヨーロッパリーグ(EL)を制したマンチェスター・ユナイテッド。最終的に来季のCL出場権を獲得したシーズンとなったが、モウリーニョ体制1年目を「成功」と総括することはできるのだろうか。(取材・文:山中忍【イングランド】)

text by 山中忍 photo by Getty Images

かつて「タイトルを獲れば成功」だったが…

マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督【写真:Getty Images】
マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督【写真:Getty Images】

 ヨーロッパリーグ(EL)の優勝セレモニーで、3本指を立てながら笑顔を見せていたジョゼ・モウリーニョ。マンチェスター・ユナイテッド就任1年目の今季は、開幕前哨戦に当たるコミュニティシールド、リーグカップ、そしてELの3つの優勝トロフィーを手中に収めて幕を閉じた。

 5月23日にスウェーデンで実現したEL優勝は、プレミアリーグ6位に終わったユナイテッドにCL出場権をもたらすタイトル獲得でもあった。アヤックスを退けた決勝は、内容的にも奪うべくして奪った勝利(2-0)。

 敵が欧州主要大会決勝では史上最年少となる平均年齢23歳未満のイレブンだったとはいえ、18分にポール・ポグバ、48分にヘンリク・ムヒタリアンと、モウリーニョが昨夏に買った両新戦力がゴールを決め、巷で「今季の成否を決める」とされた大一番での無難な試合運びを可能にした。それでも、モウリーニョ体制1年目を「成功」とは評価できない。

 かつて「タイトルを獲れば、そのシーズンは成功」と言っていたのは、偉大なサー・アレックス・ファーガソン元監督。国内外で主要タイトルを獲得した今季は紛れもない成功ということになる。

 だが、ファーガソン時代のチームは、「ユナイテッドらしい戦い」という基本線を維持していた。攻めの姿勢、逆転勝利も当たり前の勝負強さ、そして強豪の風格を感じさせる戦いぶりだ。それ故に、指揮官もファンも納得の内容にタイトルという結果が伴えば迷わず成功と判断できた。

 ところが今季の戦いぶりは、「ユナイテッドらしさ」を感じさせるものではなかった。リーグ順位は昨季から1つしか下がっていないが、首位との距離は昨季の15ポイント差から24ポイント差へと広がっている。

 計54得点は今季トップ6で断トツの最少。ホームでは16位で2部への逆戻りを回避したバーンリーよりも少ない8勝しかできなかった。

 計29失点は今季プレミアのベスト2ではある。8節リバプール戦に始まった、アウェイでの強豪対決で堅守を重視する姿勢が間違っているわけでもない。筆者は6バック状態だった同節でのスコアレスドローを、「モウリーニョらしい」戦い方だと前向きに受け取った。

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