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若き才能を封じたマンUの完璧な罠。2つの悲願もたらしたモウリーニョとポグバの執念

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

モウリーニョが徹底的に潰した「イブラ以上の逸材」

マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督
マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督【写真:Getty Images】

 象徴的なのが1対1勝利回数の数値であり、アヤックスはこの試合で24回ものドリブル突破を成功しているにもかかわらず、決定的なチャンスを生み出せていない。

 それは、ユナイテッドの選手が相手の突破に対して無理に寄せず、コースを限定していくことで袋小路に追い込み、自らが抜かれても次のエリアを別の選手がゾーンで守ることで最終的に攻撃の芽を摘む戦略を立てていたためである。

 このように相手の長所を消す戦略はモウリーニョ監督の常套手段であり、徹底的な分析と対策の能力は、今も世界トップと言えるだろう。

 特に際立っていたのが、アヤックスのセンターFWであるドルベリへのマークだった。

 このデンマーク出身の19歳は187cmと長身に加え、スピードと技術の高いドリブルや正確なパスでチャンスを生み出し、高いキープ力でファウルも誘う。そして何よりも抜群の決定力を持つ万能型ストライカーで、イブラヒモビッチを超える逸材とされている。

 アヤックスの攻撃は、このドルベリがセンターFWにいることで全体が連動していくものとなっている。そのドルベリに対して、ユナイテッドはスモーリングとブリントのCBコンビが常に見ており、少なくともどちらか一方が必ずマークに付くように動いていた。

 ドルベリは61分に交代となるが、その間にボールに触れた回数は、わずか16回。パスもわずか13回でシュート数は0本と抑え込まれた。

 結局、ドルベリにボールを入れることの出来ないアヤックスは理想的な攻撃の形が作れず、ボールを支配しながらも危険なエリアにすら攻め込めない状況が続いていた。

 さらに、中盤でもフェライニが15回も空中戦を制するなど、ユナイテッドは終始自らのペースで試合を進めていた。

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