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セリエA 8年前

ユーベ指揮官、戦術以上に際立つ人心掌握術。2度目のCL決勝。苦汁なめたミラン時代糧に

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

不遇を糧に。優れた人心掌握術で勝ち取った信頼

 アッレグリは14年1月に解任され、半年後にユーベに行って現在に至るわけだが、今の表情は実に晴れ晴れとしている。この3年間チームを見事に切り盛りし、「グループの管理力は素晴らしい」とジュセッペ・マロッタGMから全幅の信頼を寄せられている。

 2月のパレルモ戦後にレオナルド・ボヌッチと口論になり、ボヌッチがクラブから直後のCLポルト戦1stレグでメンバー外となる処分を受けたことがあった。しかし、それも真摯に話し合って解決。ボヌッチは「以前よりもっと信頼関係は強固になった」と笑った。

「選手を仕切るやり方は一律ではなく、各々の性格によって違う。ミランに来た当初、たくさんの名選手がいることを分かってなかったのは間違いだったし、逆に最後のシーズンではチームをつ一から作り直さなければならなかった」と、アッレグリ監督は若手指導者向けのセミナーで語っていたことがある。

 ミラン時代の不遇も糧として、指導者に必要な人心掌握術を伸ばしたということだ。「戦術や技術で大幅な革新は望めない。ただ選手の管理・運営術については(監督間で)差が出る」とも彼は言った。現在ユーベで見せているきめ細かく柔軟なチームマネジメントは、日々の研鑽の成果でもあるのだ。

「(決勝に進出した)2年前とは違う手応えを皆持っている。自分も成長した」とアッレグリはカーディフでのCL決勝戦を見据えた。違う結果をもたらすことはできるか。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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