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日本代表 8年前

【U20】「ハーフではなく“ダブル”」。異色GK山口瑠伊が抱く2つの祖国への思いと両親が語るルーツ

text by 舩木渉 photo by Wataru Funaki

「ここに立っているのは親のおかげ」。山口が語る両親への感謝

 フランス人と日本人の“ダブル”として、2つのアイデンティティを大切にできるよう育て、将来のために勉強をおろそかにしないよう自立させる。要所の決断を息子自身に任せ、人生において何がしたいのかのびのびと考えさせる両親の教育は、山口瑠伊という1人の青年の人間性を豊かに育んだ。

 父・ヴァンサンさんはこれまでと同じように息子を厳しくもやさしく見守っている。

「彼が本当に幸せを感じられればそれだけでいいです。楽しんで戦ってほしい。私はルイくんが日本のために戦っている、それだけで嬉しいんです。私は日本が大好きですから、ルイくんが日本代表を選んでくれたことは私にとっても本当に嬉しかった。もちろん誇りですが、まだまだ弱いので頑張らなきゃいけない。それは彼もわかっていると思います。彼のターゲットやビジョンはもっと先にあるはずですから」

 母・浩美さんもヴァンサンさんに同意し、世界の舞台で戦う息子にエールを送った。

「自分たちにできることはもうやったので、あとは(瑠伊が)自分で納得出来るまで突き詰めて、納得して幸せだったらそれでいい。(W杯の舞台に立つ息子を見るのは)嬉しいですね」

 山口も「ここに立っているのは親のおかげです」と両親への感謝を忘れない。そして「ヨーロッパでいろいろなクラブに行きたいです。いろいろな国に行って、いろいろな経験を積みたいです」とサッカー選手としての将来のビジョンも語ってくれた。

 日本とフランスの“ダブル”で日本代表のGK山口瑠伊。2つの国の誇りを胸に戦う守護神は、サッカー選手として、そして1人の人間として、世界へ大きく羽ばたいていくに違いない。

(取材・文:舩木渉【水原】)

【了】

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