GKへのこだわりは父の影響。発見した柔道との共通点
現在韓国でU-20W杯を戦っているU-20日本代表の選手たちの中で、唯一ヨーロッパのクラブに所属している選手がいる。GKの山口瑠伊だ。
フランス人の父と日本人の母のもと、パリで生まれて生後6ヶ月で来日。その後は東京で育った。3歳の頃、柔道と剣道で師範代の資格を持つ父の影響で柔道を始め、サッカーを始めたのは5歳のころだった。
小学生になった頃からポジションは一貫してGK。本人は「ちょっとだけFWもやっていた」と言うが、母・浩美さんは「試合の日はいつもGKのウェアを着て、GKグラブをはめて集合場所に行っていたんです。チームの監督は他のポジションでも使おうと思っていたようですが、本人が『GK以外やらないぞ』みたいになっちゃっていて…」と回想する。
父・ヴァンサンさんも「チームのユニフォームは関係ない。忘れるくらい(笑)」と、山口のGKへのこだわりを語っていた。
そもそも山口がGKに興味を持つようになったのは、父の影響で始めた柔道との共通点を発見したからだった。
「初めてGKをやって、体を投げ出してセーブする時に『ちょっと柔道っぽいな』と思ったんです。それからずっとGKです。柔道とGKのプレーにはちょっと似ているところがあります。自分の体を地面に捨てる時とか、怖くないですから。ここ(アスファルト)に飛べって言われても飛べますよ」
柔道を辞め、サッカーだけに絞ったのは11歳の頃だったという。理由は「サッカーが一番楽しかった」とシンプルなものだったが、この決断も考え抜いたものだった。ただ、父・ヴァンサンさんは柔道ではなくサッカーを選ぶことは、山口が6歳の頃からわかっていたのかもしれない。
「ルイくんが6歳のとき、私は『夢を絶対に叶えるんだったら、何をしたい?』と言ったんです。3ヶ月くらいして彼は答えました。『お父さん、わかった。この人生、GKでプロになりたい。ダメだったら医者になる』と。私は『勉強がうまくいけば、サッカーでもなんでもやってOK』と伝えました。勉強をちゃんとしていれば、毎日何時間でもサッカーしていい。6歳のときがスタートでした」