未曾有の大混戦状態にあるJ2。京都が放ちはじめた存在感
吉野が声を弾ませれば、水戸ホーリーホックとの前節ではMF望月嶺臣やセンターバックの下畠翔吾までが自身を追い越し、攻め上がっていったことに闘莉王も思わず笑顔を浮かべる。
「ヨシ(吉野)はものすごい数のシュートを打っているし、素晴らしいことに前回はレオ(望月)やショウゴ(下畠)も自分を追い越して、シュートを打てるところまでいってくれる。それをどうにかみんなにシュートを打たせる、無駄走りにならないようにしないと」
闘莉王が復帰し、フォワードで起用されてからはこれで4勝4分け。無敗をキープしたうえに、キックオフ前の時点で4位と上位をうかがっていたヴェルディから敵地で逆転勝利を奪った価値は大きい。
5勝5分け5敗、得点19に対して失点も19とすべてイーブンに戻し、順位も12位まで上げてきた。未曾有の大混戦状態にある今シーズンのJ2戦線だけに、まだまだサンガにもチャンスはある。
「もう年なのでいっぱい、いっぱいですけど。常にトップを目指していますし、だからこそベスト3のお尻が見えるくらいの位置に早くもっていかないと。自分が出ていなかったときに、勝ち点をこぼした責任をちょっとずつ、自分にできることを必死にやって返していきたい」
当面の目標とする3位・横浜FCとの勝ち点差は、これで「8」にまで縮まった。3分の1を超えたばかりの長丁場のJ2戦線で、闘莉王を最前線にすえるサンガが不気味な存在感を放ちはじめた。
(取材・文:藤江直人)
【了】