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Jリーグ 8年前

「FW闘莉王」の心意気。時限的ではないコンバート。大混戦J2、京都が放つ不気味な存在感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

時限的措置でなく現時点では完全なコンバート

京都サンガの布部陽功監督
京都サンガの布部陽功監督【写真:Getty Images】

 闘莉王を突き動かしている2つ目の要素は、今シーズンから指揮を執る布部監督から寄せられている、厚い信頼感を意気に感じていることだ。

 逆転勝利をあげた試合後の公式会見。43歳の青年監督は闘莉王のフォワード起用をけが人が戻ってくるまでの時限的な措置ではなく、現時点における完全なコンバートであることを明言している。

「点を取るためにいま何をすべきか、自分たちが相手よりも優位に立てるものは何かという京都の強みを考えて、闘莉王を前線に置きました。フォワードの選手が多いなかで、日ごろの練習でも得点感覚やプレーのセンスを見せてくれている。試合の状況や相手にもよりますけど、いまは変える必要はないと思う」

 185センチ、85キロの闘莉王とコンビを組んだ、ベルギー出身のオリスのサイズは192センチ、91キロ。迫力と重量感あふれるツインタワーがもたらす相乗効果に、布部監督も手応えを感じはじめている。

「前線にあの2人が立つことによって、相手の重心というか矢印を後ろに下げさせられる。2人がポジションを取ることによって主導権をまずそこで取ると。闘莉王は状況を見て下がるし、ボランチの横のスペースも取れる。ケビンは高さを、闘莉王には高さとポジショニングを求めています」

 闘莉王がセンターバックを務めた開幕2戦と欠場した5戦で、サンガは6ゴールしかあげていない。翻って、背番号4が最前線を務める8試合では13ゴールを叩き出している。

 そのうちの半分近くの6ゴールを闘莉王がマークしていることになるが、フォワードが本職ではない自分に求められる役割は、別の次元にあると闘莉王は受け止めている。

「みんなの起点になる、守備をしてみんなを楽にする、相手に怖さを与える。フォワードとしてではなく、こうした点はディフェンダーだったときと変わっていません。少しでもみんなを楽に、伸び伸びとサッカーをやれるようにしてあげることが僕の気遣いでもあるし、心がけでもあるので」

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