「いつ出てもいいように試合に向けて準備したい」(原)
南ア戦で久保、遠藤に続く3枚目のカードとして出場した原も巻き返しに躍起になっている1人だろう。前日ピッチに立ったのはわずか1分程度。ボールを触る機会もなく、どこか消化不良感を覚えたに違いない。
そもそも原は静岡県内の大会直前合宿まで、坂井大将(大分)とのボランチコンビ筆頭候補と目されていた。今季入団したアルビレックス新潟で開幕スタメンに抜擢されたことで、内山監督からも大きな期待を寄せられていた。
しかし本人は「クラブでは左サイドバックをやったりしているし、ここでボランチでやった時に生かせることがあまりない」と複数ポジションを柔軟にこなす難しさを吐露。新潟のJ1下位低迷も重なって、15日のホンジュラス戦(エコパ)では精細を欠いて、本大会のスタメンボランチの座を板倉滉(川崎)に奪われる格好になってしまった。
それでも、ピッチに立った以上は短い時間でも守備職人としての鋭さを発揮しなければならない。彼自身も「ボールを取れなくてもバックパスさせる分にはいいと思って、相手がパスを出すコースを読みながら抜けた瞬間に寄せることを意識してました。ピッチに立って大会の雰囲気を体験するだけでも違うのかなと思うし、いつ出てもいいように試合に向けて準備したい」と前向きさを前面に押し出していた。
南ア戦で板倉がまずまずのパフォーマンスを見せたことから、次戦・ウルグアイ戦も先発が有力視されるが、原の出場時間が長くなる可能性は少なくない。もしくは守備面で不安を露呈した左サイドバック・舩木翔(C大阪)の代役として抜擢されることも考えられる。
いずれにせよ、守備の万能型プレーヤーである彼の役割は幅広いだけに、ウルグアイ戦ではカギを握る存在になるかもしれない。昨年10月のアジア最終予選(バーレーン)でも途中出場して流れをガラリと変えることがしばしばあったが、世界の舞台でもその再現は可能なはずだ。
15歳の久保建英が見せた強烈なインパクトを上回るべく、遠藤・原のジョーカー組、そして杉岡ら控え組にはより一層の奮起が求められる。
(取材・文:元川悦子【水原】)
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