「タケなら走ってるかなと思ってパス&ゴーで行った」(堂安)
迎えた後半27分、日本は左サイドを上がった舩木のパスをペナルティエリア左隅で受けた堂安が久保にダイレクトパス。久保はノールックでリターンを送り、堂安が左足を一閃。ついに逆転弾を叩き出すことに成功した。
「若干ボールが伸びた部分があってピッチも滑ったんで、その分、見る余裕があった。最初に小川選手が入ってるのは見えたんですけど、クロスを上げようとした時に堂安選手から『後ろ』と言われた。だいたいの位置をつかんでたんで、そのままクロスを上げました」と久保は語った。
そして堂安も「自分は感覚で出したというか、タケなら走ってるかなと思ってパス&ゴーで行った。絶対、航基がニアにいてくれると思ってたんで、自分はマイナスに走ってどっちに出してもゴールになるような形で入って行きました。タケはホントに賢い選手なんでナイスボールを出してくれた」と2点目のお膳立てに感謝した。
ダブルレフティの「あうんの呼吸」が日本を逆転勝利へと導く一撃を生み出したと言っても過言ではない。2人は年齢的には3歳違いだが、2020年東京五輪、その後のA代表でコンビを組み続ける可能性が高い。近未来の日本攻撃陣を担う2人の鋭い感性が合致したことは今後に向けて非常に大きな一歩ではないか。
小川と堂安、そして久保といった前線の奮起に守備陣も呼応する。序盤は不安定さを垣間見せていた冨安が前半終わり頃から相手のスピードに慣れて目覚ましい変貌ぶりを見せたうえ、中山も本来の落ち着きを取り戻す。前半は相手に1対1でアッサリとかわされる場面が目立った舩木も攻守のバランスを意識するようになるなど、守備陣が高い修正能力を示したのだ。
「試合の中でだんだんスピードにも慣れてきたし、後半はしっかり対応できたかなと思います。最後の体を張ることの重要性は内山さんにもアビスパの井原(正巳)さんにも言われているので、そこは意識したつもりです」と冨安は大きな手ごたえをのぞかせた。