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香川真司 8年前

香川らが生み出した左サイドの“新機軸”。カップ決勝に向けドルトに新たな武器

text by 本田千尋 photo by Getty Images

香川、ゲレイロ、ロイスのパスワークが光る

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ピエール=エメリク・オーバメヤンは得点王に【写真:Getty Images】

 そんな目まぐるしいシーソーゲームの中で、光ったのは左サイドのコンビネーションだ。香川は「次のポカール決勝でも見せていきたい」と口にする。

「ラファ(エル・ゲレイロ)とマルコ(・ロイス)と。あそこで良い距離感でやれれば、まあ、ある程度の相手であればやれるんじゃないかと手応えを感じたりする」

 日本代表とポルトガル代表とドイツ代表が打ち出す“新機軸”。既に香川は前節アウクスブルク戦の後でも言及していたが、香川とゲレイロとロイスのパスワークは、左サイドから何度もブレーメンを脅かした。

「良い感じで崩せたので、そこからもっとゴールを取るべきだったと思うんですけど、すごくやっていて面白かったですし、あの感覚は大事にしたいなと思います」

 元々ロイスとは相性の良さを見せていた香川だが、シーズンも終わろうとするここに来て、さらにゲレイロも加わって好パフォーマンスを発揮している。「すごくやっていて面白かった」という香川のコメントからは、高い技術を持つ3人がイメージを共有し、自然な連携を実現できていることが伺える。前半戦はインサイドのポジションを争ったゲレイロとも、今ではすっかりピッチ上の盟友だ。85分には中央の香川から左サイドのゲレイロ、そしてゴール前のロイスへと、大きな三角を描くダイナミックなパス交換を見せた。この“新機軸”を香川は「次の決勝でも見せていきたいと思います」と意気込む。

 最終的には相手の不安定な守備を破壊し、75分と89分に2本のPKを獲得したドルトムント。ロイスとオーバメヤンが決めて2度目の逆転に成功し、ブレーメン戦を4-3で勝利する。先月のチームバスが狙われた爆発事件で負傷したDFマルク・バルトラは見事復帰し、オーバメヤンはブンデス得点王に輝いた。

 香川も安堵の様子である。

「やっぱりここを勝ち切りたかったですし、もちろんポカールの決勝があるので、ホームで負けるわけにも行かなく、3位で終わらないといけない状況だったので、それはみんなが理解していた中で、最後、良い結果で終われたんじゃないかなと思います」

 最後の最後に大団円を迎えたドルトムント。1週間後のポカール決勝に向けて、左サイドに新たな武器を手に入れた。

(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

【了】

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