過去の大会では堅守が勝ち上がりの鍵に
中盤に先発起用が予想される板倉滉【写真:舩木渉】
板倉は「南アは個人の強さとスピードがあるし、そこは全然違う。センターバック前のバイタルをつぶさないと簡単にやられてしまうところもあるんで、そこをしっかり抑えたい」と自身の役割を明確にしている様子だった。
ホンジュラス戦の失点場面を見ても、1点目は個人能力の高さにやられ、2点目は中盤でルーズボールを拾われた挙句、中山の背後に飛び出された。坂井にラストパスが当たって中山の予測が外れ、裏を取られる不運もあったが、世界相手では複数のミスが重なると必ずと言っていいほど失点につながる。そこは肝に銘じなければいけない部分だ。
「ラインコントロールを下げすぎないようにしようと(中山)雄太くんと話しました。映像を見たら相手1トップの選手のターンのスピードがかなりあったんで、引っつきすぎたらやられる。逆に離しすぎたらミドルシュートも打ってくるので、ハッキリしたプレーが大事だと思います。このチームは1次予選、最終予選と無失点で来てますし、チーム全体にコンパクトに守備できるってよさがある。それを出せれば全然戦える」と冨安も語った通り、アジア予選からの無失点継続は南ア戦の最重要テーマと言っていい。
過去の日本を振り返っても、有能なDFが揃ったチームは上まで勝ち上がっている。GK川島永嗣(現メス)、DFに栗原勇蔵(現横浜FM)、徳永悠平(現FC東京)、ボランチに今野泰幸(現G大阪)を擁した2003年UAE大会のチームはその筆頭だろう。
最終的に8強入りし、99年ナイジェリア大会の準優勝に次ぐ成績を残したが、守りの安定感が大きな武器になっていた。2005年オランダ大会のチームもGK西川周作(現浦和)、DF水本裕貴(現広島)、増嶋竜也(現仙台)らを軸に守り倒し、1次リーグ未勝利ながら3位で決勝トーナメントに進出した実績がある。
仮に攻撃陣が点を取れなくても、後ろの固さで零封できれば、勝ち点1以上は確保できる。重要な初戦では特にそのことを頭に刻み込む必要がある。冨安・中山・板倉の長身3人を軸にいい守りができれば、日本は引き締まったゲームを見せられる。ホンジュラス戦後に「これが本番でなくてよかった」と話した中山らの修正能力が問われるところだ。