GK3人、思いはひとつ
GKというポジションはチームにひとつしかない。もっとも特殊かつ難しい役割と言えるだろう。
それでもチームに1人いればよいわけではなく、多くの場合2人ないしは3人、4人のGKが必要になる。控えの選手たちにはもちろん万が一に備えること、あるいは競争を意識させることなど、様々な役割がある。
だが、U-20日本代表ではGKの3人が一体となって、団結してW杯を乗り切ろうとしている。昨年のU-19アジア選手権などでも同世代の正GKとしてプレーしてきた小島亨介は「競争という意識より、GKのグループでチームに貢献しようと全員で話し合っています」と語る。
残る2人のGKもこれに続く。山口瑠伊は「(明確な立ち位置は)意識していない。個人的にはないと思う」と述べ、波多野豪も「いつでも出られる準備をしている」と目の前の戦いに向けて意欲的な姿勢を見せる。
とはいえ練習の中でGKの序列は見えてくるもの。現時点では正GKが小島、第2GKは山口、そして第3GKが波多野といったところだろうか。中でも最年長の小島が今大会にかける思いは強い。
U-17日本代表の頃から同世代の正GKとしてゴールマウスを守り続け、昨年のU-19アジア選手権優勝にも大きく貢献。U-20日本代表メンバーの中で唯一の大学生だが、安定感抜群のプレーで信頼を獲得してきた。
名古屋グランパスU-18出身の小島は高卒でトップチームは叶わず、他のJリーグクラブからの誘いを断って早稲田大学進学を選んだ。しかし上級生の壁は厚かった。昨年まで早稲田大のゴールマウスには後藤雅明(現湘南ベルマーレ)が君臨しており、ベンチ入りもままならない小島は2年間で関東大学リーグ戦にわずか3試合しか出場できなかった。