“特攻型”ブレーメンへの対抗策は香川とシャヒン?
香川真司とヌリ・シャヒン【写真:Getty Images】
こうした「3位」の掛かった最終節のブレーメン戦で、香川真司は先発を飾ることができるだろうか。
ブレーメンは8位と中位でありながら、失点数の非常に多いチームだ。これまで33試合で60失点。16位のハンブルガーSVと並んで、リーグで2番目に多い数字である。なぜこれだけ失点が多いのかというと、ブレーメンには守備を免除されたFWがいるからである。
マックス・クルーゼとセルジュ・ニャブリは、味方が攻め込まれるのを尻目に、あまり守備に戻らない傾向がある。ファーストDFとしてのプレッシングも、どこか建前上のものだ。その分ブレーメンは2人の新旧ドイツ代表の攻撃力を最大限に活かそうとしている。今季クルーゼは22試合出場14ゴール6アシスト。ニャブリは26試合出場11ゴール2アシスト。シーズン中の両者の負傷離脱がなければ、ブレーメンは最終節を待たず来季ヨーロッパリーグの出場を確定させていたかもしれない。
そんな敵の“特攻型”とも言える戦術を考えれば、ドルトムントはカウンター型で下手に出る必要はないだろう。前節アウクスブルク戦に比べれば、ポゼッションを軸に中央のスペースを有効に活用していけるのではないか。
前日会見でトーマス・トゥヘル監督は、ヌリ・シャヒンがアウクスブルク戦で負傷したユリアン・バイグルのオプションであると述べた。であれば香川とシャヒンのコンビを活用して、中盤の主導権を握りに行っても良いのではないか。ASモナコとのCL準々決勝1stレグでは、シャヒンのアシストで香川はゴールを決めるなど、“ホットライン”を形成した旧知の間柄。会見によれば、トゥヘルはアウクスブルク戦で急遽バイグルの代わりを務めたマティアス・ギンターの出来に満足しているようだ。しかしその試合でギンターは、香川のサポートを必要としている。やはりより専門のシャヒンを中盤の底に置きつつ、香川の意識を前に向けたまま“ホットライン”を活かしていく。
ユルゲン・クロップ時代から知る2人の攻撃力が、「3位」の確定に繋がっていくのではないか。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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