「地味でつまらないサッカー」と非難轟々…高い評価を得るまでの険しい道のり
今でこそ高い評価を受けているU-20ベトナム代表だが、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。一つ前の世代にFWグエン・コン・フオン(元水戸)、MFグエン・トゥアン・アイン(元横浜FC)、MFルオン・スアン・チュオン(現江原FC)といったスター選手がいたのに対し、現在のU-20代表はどちらかというと小粒な印象。
ポゼッション重視の攻撃サッカーを好む国民性もあり、堅実なホアン・アイン・トゥアン監督のサッカーは当初、ファンやメディアから「地味でつまらないサッカー」と叩かれ続けた。
現在のベトナムでは、メディアが上記のスター選手たちを輩出したHAGLアーセナルJMGアカデミー(ベトナム1部ホアン・アイン・ザライの下部組織)が実践してきた攻撃的スタイルを「ベトナムサッカー新時代の宝」として持てはやしたため、それ以外の守備的戦術が批判の対象となる傾向がある。前ベトナム代表の三浦俊也監督が一定以上の結果を残しながら解任されたのも、この風潮が強まっていたのが原因の一つと考えられる。
HAGL信仰はかなり偏った形で残っており、HAGLの選手が何人代表に選ばれたか、あるいは選ばれなかったかがスポーツ新聞の見出しになる。HAGLはVリーグで毎年残留争いをしているにもかかわらずだ。
現U-20代表では、同クラブの有望株MFファン・タイン・ハウが最終登録メンバーから外れたが、メディアから質問が殺到したため、監督がわざわざ個別で落選理由を説明する羽目になった。
(※編注:同選手は、その後、負傷した選手に代わり21人のメンバー登録に追加された)