左のスペシャリストとして。舩木翔が勝ち点3を引き寄せるか
とはいえ、舩木は南アフリカ戦で守備をするだけではない。もちろん持ち味である攻撃面の良さも発揮していくつもりだ。
「自分たちが動きながらボールを動かすと、相手はついてこれないし、動きながらのプレーが増えると相手は混乱すると思います。自分たちがボールを持つ時間が長くないと相手の良さが出てしまうと思うので、動きながらダイレクトでクサビのボールを入れたり、ひとつ前に当ててサポートしてもう一度前に出たり、自分たちがボールを握りながら、動きの中でプレーすることを意識していきたい」
サイドからのクサビのパスでビルドアップに絡むこと、あるいはサイドMFとのコンビネーションで相手を崩すことは舩木の最も得意とするところ。そこから左足で精度抜群のクロスを上げられれば、中央で待っている選手たちがゴールに変えてくれるはずだ。
ただ、守備でボールを奪って前に出ていくことだけが舩木のプレーではない。U-20日本代表に入れば、逆サイドとのバランス取りも求められる。
「やっぱり自分は攻撃に関わっていくことが持ち味だと思っているんですけど、左が自分で右が(初瀬)亮くんや(藤谷)壮くんになると、自分は前へ前へいくより、少し後ろに構えながらクサビのボールを入れたり、左サイドでゲームを作れるようなプレーを心がけてやっていきたい」
舩木が相手のタテへの突破を阻止し、ボールを奪って左サイドからゲームを作る。南アフリカのフィジカルの強さやスピードを生かした攻撃を止め、日本がボールを握る時間を長くするにはサイドバックの攻守にわたる貢献が重要になるだろう。
「僕は左しかできない」
舩木の口からふと発せられたこの言葉は決してネガティブな意味ではなく、「左サイドは俺に任せろ」、そんなプライドがこもった決意表明のように聞こえた。
(取材・文:舩木渉【水原】)
【了】