再び同じユニフォームに袖を通す2人
無念の涙とともに、志半ばで高校サッカーに別れを告げてから約4ヶ月半。別々のチーム、しかも異なるカテゴリーでプロの世界を駆け抜けてきた2人が再び同じユニフォームに袖を通し、日の丸の誇りと胸に抱きながら世界の強豪たちと対峙する。
韓国で20日に開幕するFIFA・U-20ワールドカップ。今春に市立船橋高校(千葉)を卒業したMF原輝綺(アルビレックス新潟)とDF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)はお互いをライバル視し、高め合い、ほぼすべての公式戦でピッチに立ちながら成長を続け、U-20日本代表でチームメイトとなった。
「お互いにのこの先もサッカーを続けていく以上は、アイツは常に意識していく存在。切っても切れないライバル関係なのかなと僕自身は思っているし、いまもすごくいい刺激をもらっています」
アルビレックス史上で初めてとなる、高卒ルーキーによる先発デビューを2月25日のサンフレッチェ広島とのJ1開幕戦で射止めた原が静かで、かつ淡々とした口調のなかにも闘志を燃やす。
もちろん、アイツと呼ばれた杉岡も負けてはいない。一夜明けた同26日。水戸ホーリーホックとのJ2開幕戦で3バックの左で先発フル出場すると、6日後のザスパクサツ群馬とのホーム開幕戦の開始10分には、果敢な攻め上がりからプロ初ゴールとなる先制弾を叩き込んだ。
「J1の試合をよく見るんですけど、原は普通に通用している部分がすごく多いので。その意味では、まだまだ僕のほうが下なのかなと感じている。僕の向上心の源になっているというか、原がいることで、もっともっと上手くならなきゃいけないと思えるので」
最初に頭角を現したのは杉岡だった。FC東京U-15深川からFC東京U-18への昇格がかなわず、高いレベルで己を磨ける場所として市立船橋を選んだ。FC東京U-15深川ではボランチが主戦場だったが、入学からほどなくして、自分の適性はセンターバックにあると気づかされた。
対人における無類の強さと、利き足である左足の精度の高いキックが宿っていること、何よりも左利きのセンターバックそのものが日本サッカー界では希少価値であることを朝岡隆蔵監督から教えられた。
2年生の7月にはU-17日本代表に招集され、国際ユースサッカーin新潟では優勝も勝ち取った。直後のインターハイでは準優勝。高校ナンバーワンのセンターバックという評価を受けるようになった杉岡の前方で、ボランチとして黒子に徹していたのが原だった。
クラブチームのAZ’86東京青梅から入学した市立船橋で、一番下のチームからはい上がってきた原の武器は、すべての守備的なポジションをハイレベルでこなせるユーティリティーさにあった。