CLだけでなくリーグ杯、フランス杯でも躍進
序盤は新監督ウナイ・エメリの戦術がフィットせずに軌道に乗るまで時間がかかったとはいえ、PSGは控えメンバーだけで各国代表クラス揃いのセカンドチームが作れるほど層が厚く、おまけにカバーニ、マテュイディ、ヴェッラッティら主力は4-5年同じメンバーでプレーし、チームとしての熟成度はモナコと比べて桁違いに高い。
CLでバルセロナに悲劇的な逆転をくらった後はその反動からかいっそう奮起し、シーズン終盤には首位のモナコに並びかける猛追をしかけたが、追われる側ながらとりこぼすこともなく、今年に入ってからはリーグ戦無敗で王者を振り切った精神力は特筆に値する。
なおかつ、そんな経験値の浅いメンバーながらCLとリーグを立派に両立させ、5年前からベスト8止まりのPSGを差し置いて、予選からベスト4まで勝ち上がった史上初のチームとなったのは誇れる功績だ。
準決勝のユベントス戦ではさすがに限界を見た気がした。とくにモナコでの1stレグは、鉄壁のスリーディフェンス相手に、点を入れられる気配がまったく感じられなかった。
前述のようにメンディが不在だったため右SBのシディベを左、ウィングハーフのディラールを右サイドバックで使うという布陣の変更を余儀なくされ、抜群の機能性を誇る左サイドの“メンディ-バカヨコ-ルマールームバッペのホットライン”を繰り出せなかったのも響いたが、いまの彼らには、ベスト4が納得の成果といえる気もした。
それでも2ndレグで18歳のムバッペが、CLで689分間破られることのなかったブッフォンのゴールを破り、爪痕は残した。
両立させたのはCLだけではない。リーグ杯では準優勝、フランス杯でもベスト4まで勝ち進んだ。今季の彼らは、真に強いチームだったのだ。