久保建英は“少年”から“青年”に
久保がU-20日本代表に招集されたのはW杯本大会が初めてではない。昨年11月のアルゼンチン遠征や、今年に入ってからはドイツ遠征も経験した。常に改善点を探し、見つけ、克服してきた15歳は、これまでと同様に高いレベルを実際に知ることで自信を深めているに違いない。
U-20W杯は数多くのワールドクラスの選手たちが飛躍のきっかけをつかんできた大会でもある。過去のMVPにはディエゴ・マラドーナやリオネル・メッシ、セルヒオ・アグエロ、ポール・ポグバらが名を連ねる。
2015年の前回大会ではジョバンニ・シメオネ(現ジェノア)やアンヘル・コレア(現アトレティコ・マドリー)、ブラジル代表のエース格に成長したガブリエル・ジェズス(現マンチェスター・シティ)らが躍動した。
久保も彼らの後に続けるだろうか。札幌戦を終えて「今の時点で自分は他の同年代の選手より半歩くらい前にはいられているかなというのは思っている。スタートが早いだけじゃなくて、失速せずにこのままどんどん上にいきたい」と語っていた青年は、目前に迫ったW杯に向けて、17日の練習後に決意を述べた。
「最初で最後というか、この年のW杯は一度きり。今までずっと予選を戦ってきて、本大会に呼ばれていない人もいる。そういうのを考えた時に、悪いパフォーマンスは許され難いものなので、まずはしっかり、今日から改めて1試合1試合全力でできるような準備をしていきたい」
目を見張るスピードで成長してきた久保は、いつの間にか“少年”の「久保くん」から「久保選手」と呼ぶべき1人の“青年”に変わって、よりたくましい姿になっていた。もはやこれまでの過程を見てくると、U-20W杯でも我々を驚かせてくれるのではないか。そんな期待が日に日に確信に変わりつつある。
(取材・文:舩木渉【水原】)
【了】