「成長速度は自分のイメージより3倍以上速い」
J3デビューとなったAC長野パルセイロ戦で、久保が発した言葉の中で強く印象に残っているものがあった。
「経験のひとつとして、高いレベルを経験できたので、ここからどのくらい差があるかというのがわかったので、その差を詰めていけるチャンスだと思っています」
長野戦で感じた「差」を半年で埋めた。今年4月末に同じ長野と再戦した際にも、「去年と比べて緊張感も減りましたし、明らかにやれているなというのは自分の中でありました。成長はしているんじゃないかなと思っています」と手応えをつかんだ。今季はJ3で毎試合コンスタントにプレーしている。
札幌戦で「Jリーグというのは本当にレベルの高いところ」と、トップレベルとの「差」も実感した。U-20日本代表の内山篤監督が久保のことを「彼はサッカーで一番難しい、自分が何をできるかというのを一番よくわかっている選手」と評したのも、的確だとうなずかされる。
かつて所属したバルセロナは世界屈指の育成組織を持つことで知られる。そこからFC東京への移籍が決まった時、誰もが久保の成長スピードの鈍化を心配した。本人ですら「何で戻らないといけないんだろう」と不安に思っていたという。
スペインからの帰国を余儀なくされた背景には、バルセロナの18歳以下の選手に関する登録違反があった。その処分の対象にはEU圏外出身で、18歳になっていなかった久保も含まれていたため、選手の実力だけではどうにもならない状態で、帰国は「決まっちゃったこと」と割り切るしかなかった。
それでも日本に戻り、年齢やカテゴリにとらわれず、高いレベルを経験したことで久保自身も成長スピードが落ちていないことを実感している。日本代表として挑むU-20W杯の開催地・韓国に入って初めての練習後にこう語った。
「こっち(日本)に戻ってきて、こっちだと1年単位で本当にカテゴリが変わったり、いろいろな環境が目まぐるしく変わっていくので、向こうでやっているより成長速度は、自分のイメージより2倍、3倍以上速かったかなとは思う。最初のイメージよりも全然成長できているので、帰ってきてよかったなというのは正直思います」