J3デビューからわずか半年で急成長
久保建英という青年の成長スピードには、会うたびに驚かされる。
昨年11月5日、FC東京U-23の一員としてJ3の舞台に初めて立った15歳は、試合後にこう話した。
「ちょっと早かったかなと、(J3は)レベル的にはまだちょっと難しいなというのがあるんですけど、チャンスがあれば追いつけなくてもやれることをやりたいなと思うので、また次に機会があれば頑張りたい」
それもそのはず。久保の周りには大人の選手たちばかり。ユースの試合とは全く違う体格や経験を持った相手と戦わねばならない。15歳の少年には”早すぎる”場所だったのではないかと感じた。
久保本人も「相手チームもFC東京U-23の選手も、自分がいままでプレーしていたところと全然違って、パススピードだったり展開だったりが早くて、最初は全然ついていけなくて、自分が思っているよりも速いパスがきてあたふたしてしまった。結構スピードは大切だなと、まだまだ劣っているなと思いました」と、周りとの差を実感していた。
しかし、それから約半年が経った今年5月3日。久保はJ1のピッチにいた。リーグ戦ではなくYBCルヴァン杯だったものの、初めてFC東京のトップチームの一員として出場機会を与えられた。ユースの選手として体感したギャップをわずかな期間で埋め、日本のトップクラスの選手たちと遜色ないレベルまで一気に力を伸ばしてきた。
札幌戦では「今日は(自分の力を)出し切れなかった」とは言うが、ドリブル突破や直接フリーキックでゴールに迫った。「あと一歩だった分、本当に悔しい」という言葉からは、J3デビュー戦後の少し自信なさげな様子からは想像できないほどに自信を感じさせた。
途中出場で相手が多少消耗していた状況とはいえ、J1の選手たちと初めて対戦して、しかも15歳で、「決めなきゃいけない試合だった」と感じることができたのは大きな収穫だったはずだ。