将来戦略がバラバラの日中韓。日本が目標に据えるのは単独開催
それでも東アジアの4ヶ国による共催に懐疑的な視線を送らざるを得ないのは、北朝鮮を除く3ヶ国が描く将来戦略がバラバラだからだ。たとえば中国はサッカー好きとされる習近平国家主席の大号令のもと、中国サッカー全体の徹底強化に国策として取り組んでいる。
著名な外国人選手のいわゆる「爆買い」には、クラブチームを強化することで自国の選手を育て、ワールドカップの常連国となり、ごく近い将来にサッカー界最大の祭典を単独で招致する思惑が込められている。将来を担う子どもたちを対象とした、グラスルーツの強化にもすでにスタートしている。
今月に入って「2034年大会の招致に動くのでは」と報じられたが、中国側はこれを否定した。もっとも、否定の対象は「2034年大会招致に関する報告書を正式にまとめた」とする報道であり、将来的な招致そのものではない。単独招致へ手を挙げるタイミングを、見計らっているとするのが妥当だろう。
日本も2度目のワールドカップ開催は単独で、という目標を掲げている。日本サッカー協会(JFA)が2005年1月に発表した『JFA2005年宣言』のなかで記した「JFAの約束2050」で、2050年までにワールドカップを日本で開催し、日本が優勝することを長期的な目標としてすえている。
10年以上が経過したいま現在も、もちろんスタンスは変わらない。だからこそ、今年3月に打ち上げられた鄭会長の4ヶ国共催構想に、JFAの田嶋幸三会長は「寝耳に水で驚いている。聞いたこともないし、相談されたことも、したこともない」と困惑気味のコメントを残している。
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