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韓国発30年W杯4ヶ国共催案の非現実性。将来構想異なる各国。日本の目標は単独開催

text by 藤江直人 photo by Getty Images

W杯100周年となる2030年大会。第1回開催国が進める準備

 具体的には「2つから4つの国で、なおかつ近隣国で開催するのが理想的」とまで言及。実際、2026年大会に関しては4月10日、北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)所属のアメリカ合衆国、カナダ、メキシコが共催で立候補することを正式に表明している。

 過去のワールドカップで共催となったケースは、日本と韓国による2002年大会の一度だけしかない。出場国数の拡大決定とともに共催に対するハードルは下がっているものの、鄭会長が描く構想がそのまま具現化されるのかと問われれば、現実的には難しいと言わざるを得ない。

 まずネックになるのがFIFAの規定だ。ワールドカップの開催立候補国について、FIFAは2009年の段階で、当該大会に先立つ2大会の開催国と同一の大陸連盟に所属する国は立候補できない、という旨の規定を定めている。

 すでに2022年大会は、中東の地・カタールで初めて開催されることが決まっている。このため、アジアサッカー連盟(AFC)に加盟する国は、2026年及び2030年のワールドカップ開催国に立候補することは不可能となっている。

 もっとも、この規定に関してFIFAが改正に動くのでは、という動きを今年5月になって欧米のメディアが報じ始めた。あくまでも「状況が必要となれば」という前提つきながら、直近2大会とされているところを直近1大会にする、というものだ。

 実際に改正されれば、2030年大会にはAFC加盟国も立候補できることになる。FIFA理事に就任したことで、サッカー界の総本山内の“内情”にも精通しはじめた鄭会長が、そうした動きを把握したうえで今回の発言に再び至った可能性は決してゼロではないだろう。

 一方で2030年大会に関しては、100年前の1930年に第1回大会を開催し、優勝国にもなったウルグアイが、隣国のアルゼンチンとの共催で立候補する準備を早い段階から進めている。実際に立候補に至れば、100周年を意味する「センテナリオ」として、大きな意義を伴うことができる。

 しかし、この共催計画は不確定要素が多い。ウルグアイで開催されれば100年ぶりとなるが、当時と比べてはるかにハイレベルな規模と設備を備えたスタジアムが求められる。国内総生産(GDP)がアルゼンチンの10分の1以下という経済力でも、ウルグアイの開催能力には疑問符がつく。

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