2人の“ジョーカー”が築くホットラインの可能性
その後、30分の練習試合がもう1本追加で行われ、久保ら後半出場組が引き続きプレー。15分に追加招集の高木彰人(G大阪)が得点し、1-0で勝利した。21人に滑り込んだFWがゴールしたことも前向きな材料だが、的確な状況判断と緩急をつける動きに長けた久保とタテに仕掛けるスピードを武器とする遠藤の連携が大いに光ったのも特筆すべき点と言える。
「タケが代表呼ばれるようになってからずっと一緒にやってるけど、彼はすぐ『前向け』とみんなに言います。その声かけがあるから自分もより多く前を向いてチャンスを作れたのかな。タケとはワンツーで海外の選手もはがせるし、技術も高いから預けたら必ず前にボールが出てくる。自分でもどんどん仕掛けるし、タテにも抜けてくれるから、ホントにやりやすい」と遠藤も久保とのホットラインに手ごたえをつかんでいた。
本大会でも彼ら2人が揃ってジョーカー的な使い方をされる場面も出てくるだろう。その可能性を示せたのは、内山監督にとっても収穫に違いない。
久保自身は30分ゲームの終了間際に市丸からの縦パスに反応。ゴール前に侵入してGKと1対1になり、相手の位置を見ながらオシャレなループシュートを放ったが、わずかに外れて得点には至らなかった。
「決めるつもりだったんで残念です」と本人は悔しさをにじませた。とはいえ、後半途中からの約60分間のプレーを通して、身体能力に長けた相手にまともにぶつかることなく、巧みな身のこなしと戦術眼で応戦していく賢さ、技術の高さを披露。「本番のいいシミュレーションになった」と前向きに話した。
「身体能力の差は感じましたけど、わざわざそれを(自分から)感じなくていいかなと。相手も疲れていたし、ボールを持ったら仕掛けようと思っていた。フィジカル勝負っていうより、自分が先手を取っていれば、ボールを取られることはない」と久保はフィジカル差を状況判断で埋められる確信を得た様子だ。